この字幕が好き! 『アムステルダム』

Twitterではお知らせしましたが、12月にウェビナーで映像翻訳のベテラン、松崎広幸さんと対談します!

松崎さんは字幕と吹替の両方を手掛け、代表作も数えきれないほどありますが、私は『デッドプール』の字幕が大好き! あのふざけたデップーの早口おちゃらけ台詞を見事に訳されていて、もう何度見てもメモが止まりません。


そんな松崎さんの字幕担当作『アムステルダム』を、早速観てきました。

クリスチャン・ベール、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントン、アニャ・テイラー=ジョイ、ラミ・マレック、さらにロバート・デ・ニーロにテイラー・スウィフト…と、とにかく豪華キャストが話題の本作。私の字幕担当作『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』に登場するアンドレア・ライズボローも出ていて嬉しい♡

「ほぼ実話」との触れ込みどおり、史実をベースにしており、あれもこれも詰め込んだオモチャ箱みたいな作品でした!

ず~っとしゃべりっぱなしで台詞が多いし、調べものも大変そうですが、スッキリわかりやすい字幕はさすがで、うなるしかありません。


目が離せない展開の中で、必死にメモした字幕はこちら。

憧れの将校の話に興奮を抑えられない女性を指して言う台詞です。

(英語はうろ覚えなので、微妙に違うかも。)

A: She is excited.

B: Very inappropriately excited.

A  興奮してる

B  みっともないほどにね


字幕を見ると、ふ~んと思うかもしれませんが、英語からこの訳を思いつきますか?

松崎さんの訳って自然すぎてサラッと流しそうなんだけど、原音と比べると「おお!」とヒザを打ちたくなるようなのが多いんです。

他にもたくさんあったのだけど、メモするヒマがなかった…。無念。

対談では、このあたりのコツをぜひぜひ聞いてみたいです!


もう1つ、本作でうなったのは英語テロップが出る場面。フランス語のシーンは一部英語テロップが出るのですが、これ、私もたまに経験しますが翻訳者泣かせなんです。

なぜって、英語テロップと字幕の両方が目に入るので、意訳や語順の違いが気になりやすいから。

本作では英語テロップと字幕の語順をピタッと合わせていて、本当にお見事!!!

このシーンで前のめりで観てる人がいたら、字幕翻訳者にほぼ間違いないです(笑

監督のデヴィッド・O・ラッセル自身はかなりのロクデナシのようですが、映画はお薦めです!

パンフレットが出ていないのが残念。吹替版も楽しみです。


というわけで、そんなサラッと神訳を生み出す松崎さんとの対談はこちら↓

JACIのインタビュー記事のノリで、松崎さんにいろいろとお話をうかがう予定です。

通訳翻訳ジャーナル×JACI(日本会議通訳者協会)共催ウェビナー

【第6回つーほんウェビナー】映画&ドラマを支える! エンタメ通訳・翻訳の世界

12月17日(土)

第1部 通訳編 14:00~15:50

第2部 翻訳編 16:00~17:50


なんて、サラッと紹介しましたが、内心ドキドキです!

質問も受け付けているので、この機会にぜひ。

通訳編も面白そうで、楽しみです。

11月11日まで早期割引があるようなので、チェックしていただけたら嬉しいです♪

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ワイン好き翻訳家のお仕事日記

岩辺いずみ   字幕翻訳家&ライター。英語、フランス語を中心に映画やドラマの字幕を手がけています。 カナダに1年、スイスに1年、アメリカに4年、フランスにちょこっと滞在。 翻訳を中心に、ワインと映画と旅の話を綴ります。 息子2人のシングルマザー。 子育ても終わりつつあるので、のんびり海暮らしを計画中。 ★WORKSの「記事一覧」からブログを開くとコメントを残せます。